独り立ちを支える力
~褒めるべきときは褒め、叱るべきときは叱りましょう~
平成23年2月2日
甲佐町立甲佐中学校


 みなさん こんにちは。
 中川です。よろしくお願いします。
 新入学生の6年生も一緒に聞くとは思っていなかったのですが、このように親子そろって話が聞けるというのはよいことですね。
 いきなりですがお尋ねします。
 我が家では初めて甲佐中学校に入学するところ、つまり自分は、長男もしくは長女という人手を挙げてみて下さい。(5分の1程度)
 甲佐中学校について、マイナスの噂を聞いた人手を挙げて下さい。(数人)
 甲佐中学校について、よい噂を聞いた人?(数人)
 中学校生活に不安を持っている人、手を挙げて下さい。(数人)
 中学校生活に夢や希望、期待を持っている人?(数人)
今日は甲佐中学校生活についての説明会です。私は少し早く学校に着きました。校門前での中学生の迎えに驚きました。(「生徒は1年生ですか?2年生ですか?」「2年生です」)
 生徒達が笑顔で、しかも大きな声で、「こんにちは よくいらっしゃいました。車はこちらです」と案内しました。皆さんにも大きな声で挨拶し、案内してくれたでしょう?
 こんな素晴らしい生徒がいる甲佐中学校に入学できる皆さんは幸せですね。保護者の皆さんは、笑顔でそして大声で挨拶し案内する中学生に接して、不安は吹っ飛んだでしょう?安心されたことでしょうね。
 私が中学校に入学するとき、私の息子達が入学するときは、今日のような入学説明会はありませんでした。これから担当の先生の話を聞いたり、校内を見学したりする中で、甲佐中学校が校長先生を中心に先生方が一丸となって子どもの教育に当たっていらっしゃることが更に良くわかることでしょう。
 私の孫娘も今年中学校に入学します。中学校生活についての期待と不安でいっぱいのようです。 これから、中学校生活についての私の思いをお話しします。
 中学生の時期は、思春期と言われています。思春期という言葉は、6年生の皆さんも性教育などの時間に聞いたことがあるでしょう?この思春期は、皆さんがお父さん、お母さんになる準備をする時期です。女の子はおっぱいが膨らんできているでしょう?男の子は声が大人のような声になってきているでしょう?毛も生えてきだしたでしょう?皆さんの身体は大人の身体になる準備をしているのです。身体の変化は目に見えますが、目に見えない心も大人になる準備をしているのですよ。その変化にとまどい、これまでとは違う事を考えたり、言ったりする時期です。後で私の息子のことを話しますが親も子も心身の変化にとまどう時期です。このことは「子ども」から「大人」に向かって大きく成長し、親からの心理的独立を求めたり、自分の生き方や将来について考えたりする「はばたき」の時期です。子どもから目を離さないでその変化と言うより成長を見守って欲しいものです。
 また、この思春期は自尊感情が大きく育つ時期でもあります。
 今、北陸地方は大雪ですね。その北陸地方で公民館講座などで学んでいる人の小中学生の頃のことを調査した人がいます。新潟県上越教育大学元教授、新井郁夫という方です。先生は公民館などで学んでいる人に、小中学生の頃の様子を聞き取り調査をしたのです。その結果わかったのは、小学校4年生から中学校2年生までの間に、学校で、家庭で、地域で、認められたり褒められたりして自己実現を実感した回数がとても多かったことです。つまり、この時期に自己実現を実感した回数が多い人ほど学習意欲が旺盛だと言うことがわかりました。自己実現を重ねることによって自尊感情が育まれ、高まります。自尊感情とは、自分に対する肯定的な感情のことです。自分はそれなりの能力と、良い面をもった大切な存在なのだと思う気持ちのことです。自分自身を大切にするからこそ、学習意欲が旺盛になり、友だちや周りの人も大切にします。自尊感情は学習意欲と人権尊重の根っこにあるものです。小学4年生から中学2年生という時期は思春期と重なります。
 今熊本県の学校では、認め、褒め、励まし、伸ばす教育を進めています。家庭でも子どもたちの成長を認め、褒めて下さい。
 私の中学時代を少し話します。私が中学生の頃はどこの家も貧乏でした。6年生の皆さんはこの正月、お年玉をたくさんもらったでしょう?私の頃はお年玉などありませんでした。正月に買ってもらうのは、杉の下駄と足袋でした。親にあれが欲しい、これが欲しいと言っても買ってもらえませんでした。親は買ってやりたくてもお金が無くて買ってやることができなかったのです。それで、欲しいものも我慢しなければなりません。貧乏であったが為に、我慢することを覚えました。
 また、小学校の高学年ともなれば働き手の一人でした。私の家は農家でした。秋になると、脱穀した籾を庭に干します。皆さんは「ねこく」か「ねこぼく」というのを知っていますか?縄で編んだむしろです。2畳程の広さです。それに籾を広げて干します。夜露でしっけないように、夕方にはねこくをたたんで小屋に入れます。干しているとき、雨が降ることがあります。そんなとき、私たち子どもが小屋に入れるのです。雨が降り出したからと言って大人が田や畑から帰ってきても間に合いません。父や母から「今日はお前達が小屋に入れてくれたから籾が濡れずに済んだ」と感謝されていました。また、乳牛が4頭、馬が1頭いましたので4年生頃から、学校から家に帰るとすぐに草切りに行っていました。牛や馬のえさです。こんなことは手伝いではありません。私の仕事でした。こんな仕事をしながら「俺が居るから家が回っている」と思っていました。自分では気づきませんでしたが、自分の存在価値を認識し、自己実現を味わっていたのです。
 さらに、地域の目がありました。悪さをしていると「そぎゃんこつばすると有(たもつ)ちゃんの泣かすぞ」と言われていました。有とは私の父の名前です。小さい子が泣いているとき、「どぎゃんしたつや」と声をかけていると、「幸平しゃんの孫だろ?じいさんの喜ばすバイ」など声をかけてもらっていました。地域の目があり、悪いことは出来ませんでした。そして、買い物や家の用事で隣近所に行くなど、いろんな機会に地域の人と話をしなけれななりませんでした。
 このように以前は、家庭や地域で知らず知らずのうちに無意図的な学習をしていたのです。
 ところが今はどうでしょう?科学が進歩したために、生活がとても便利になりました。私の家の近くに24時間営業のスーパーがあります。とても便利です。急な客があったり、夜遅くジュースなどの飲み物が欲しくなったとき、何時だろうとすぐに買うことが出来ます。便利ではありますが、「今日はお客があるかもしれない」とか「飲み物が欲しくなる」など予測や計画を立てなくてもよくなりました。いつでも買うことができますから。毎日の生活では、これから何が起きるか、今日は何をするかなど計画的に生活することはとても大切なことですが、計画が無くても生活できるようになりました。また、「もう店は閉まっているので買いものが出来ない」と明日まで我慢しなくてよくなりました。
 計画性については、お母さん方が一番計画的に生活していらっしゃいますね。「今夜の夕食は何ば食べようか」とまだ決めていない方はいらっしゃらないでしょう?メニューはおそらく1週間くらい先のことまで考えていらっしゃるでしょう?そのメニューに合わせて買い物もしますね。肉をどのくらい、魚は、野菜はと3日分くらいはまとめて買うでしょう?調理の仕方も意識してはいないでしょうが、これを先にこれは後からと計画を立ててされるでしょう?私は、料理ができません。妻からは、「あなたは講演で生きる力が必要と言っているようだが生きる力が身についていないのはあなたですよ」といつも言われます。それで、益城町公民館講座「男の料理教室」に1年間通いましたがものになりませんでした。妻が病気の時など妻に聴きながら料理をしますが、一つが出来上がってから次の料理づくりをします。皆さんは同時に2つも3つもこなしているでしょう?魚を煮付けながらほうれん草を湯がいたりなど。それも冷えてもおいしい物から先に調理して温かいのがおいしいものを後にするなど。とても計画的に料理しています。この計画性の必要性を子どもたちに身につけさせて下さい。
 また、スーパーなどでは、陳列棚から買いたい品物を選んでレジに持っていけば、「合計いくらです」と金額を示してくれますのでその金額を払えば買い物ができます。誰とも一言も話をしなくて買い物ができます。以前は、買い物では店の人と最低「これ下さい」「いくらですか」の言葉を交わさなければならなかったのです。この会話から、「おじいちゃんは元気かい?」「はい、元気です」などの会話が生まれ、地域の人とのコミュニケーションがありました。知らず知らずのうちにいろんな事を学習していたのです。最近は、この無意図的学習の機会が減りました。だったら、意図的に学習の機会を家庭でも地域でも作ることが必要です。
 まだ小学生や中学生は携帯電話は持っていないと思いますが、高校生の間では携帯電話でいろんな不都合が生じていますね。携帯電話が普及したのは、いつでもどこでも連絡を取り合うことができるということからだったでしょう?それが今では、いろんな機能がついていて携帯から離れられないようになっていますね。特に、メール交換がいろんな課題をもたらしています。メールが入ったらすぐに返事をしないと仲間外しにあうなどから、携帯を片時も離さずに生活しているという話を聞くことがあります。携帯に生活を束縛されているというのはおかしな話です。
 ある小学校の家庭教育講演会で、「三日遅れの便りを乗せて、船は行く行く 波浮港・・・」という歌詞で始まる「アンコ椿は恋の花」の話をしました。この歌は星野哲郎さんが作詞し、都はるみさんが歌って大ヒットした歌です。「三日遅れの便りを乗せて」とあるように時はゆったり流れていました。このとき恋文の話をしました。ほとんどの方が恋文、ラブレターは書いたことがないと言いました。私はよく書きました。ラブレターを出してからは、学校から帰って最初に目がゆくのは郵便受けでした。「今日は来ているかな」「今日は来てるだろう」と毎日毎日、首を長くして返事を待ったものです。1ヶ月ほど待って返事が来たときの喜びは今でも忘れません。
 「今日は来てるだろう」「今日こそは」という思いで何日も何日も待つから喜びが大きいのです。心が通い合うのです。メールが来たらすぐに返事というのは、味気ないような気がします。
 私も携帯電話を持っています。私の携帯は電話機能と万歩計の機能だけです。メールの機能はありません。でも、何の不都合も感じません。
 小学生の皆さんも、自分の早く携帯を持ちたいと思っているでしょう?パソコンや携帯を持たせるときには使うルールを話し合ってください。そして、ルール以外の使い方や目的外の使い方をしたときは厳しく叱って下さい。
 私は独り立ちに必要な力は、おおまかに言ってそこに記しているような力だと思っています。
 それは、自尊感情、学力、体力、耐性(我慢する力)、道徳性、コミュニケーション能力です。
 自尊感情については、先ほど触れました。資料に福岡県立社会教育総合センターから出している「自尊感情について」をつけています。是非読んで下さい。
 学力は、学校でつけていただきます。甲佐中学校では、学力向上が大きな学校目標でもあります。
 体力が身についていないことは、いろんな報道でご存じの通りです。この体力を支える食生活について配布しています「現代型栄養失調」を是非読んで下さい。お子さんの中学校進学を契機に食生活を是非見直して欲しいと思います。
 我慢する力は、とても大事な力です。冒頭にも触れましたが、昔は貧乏のためみんなが我慢しました。我慢することは、みんなが楽しい社会生活を送る上でとても大切です。
 道徳性、コミュニケーション能力については触れるまでもありません。
 これまで述べました独り立ちする力を育むために、いろんな体験をお子さんたちにさせてください。
 体験活動には、自然体験・社会体験・勤労体験等々いろんな体験がありますが、私は、成功体験・失敗体験・感謝体験・頼りにされる体験を数多くさせて欲しいと思うのです。
 人は成功すれば喜び、失敗すれば悔しがります。この喜び、悔しがりが今の子どもたちには少ないようです。回数が少ないだけでなく、喜びよう、悔しがりようが淡泊なように思います。気持ちの質は目標に向かっての努力の質にもよると思います。目標達成に向けての努力の質が濃ければ濃いほど喜びや悔しさも濃密です。
 最近の子どもたちに不足しているのは、人から感謝された体験、人から頼りにされた体験です。冒頭にも言いましたが、昔は家族の一員としての仕事がありましたから、こんな体験はいつもしていました。これらの体験の一つ一つが積み重なって自尊感情が豊かになっていくのです。子どもたちが豊かな自尊感情を身につけ豊かな中学校生活を送ることができるよう、褒めるべき時は大いに褒め、叱るべき時は厳しく叱り、お子さんを支えて下さい。
 少し時間をいただいて、私の次男の中学生・高校生時代のことを話します。
 もう30歳を過ぎていますが次男は親の私が言うのもおかしなことですが、当時流行った言葉、「よい子 悪い子 普通の子」でいうよい子でした。6年生の時、学級委員をしていました。先生が出張で留守の時、学級全体の自習態度が悪かったり、掃除をさぼったりして先生から注意されると、「ぼくが学級委員としてみんなに勉強しよう、掃除をしようと言わなかったからだ。先生にも学級のみんなにも悪いことをした」などと日記に書いていました。担任の先生は宿題は出されませんでしたが、「進んで勉強したのは必ず目を通す」と言っておられました。いわゆる自学自習を勧めておられました。息子は歴史が好きでした。織田信長について調べたり、明治維新について調べたり、自分で課題を設けてよく勉強もしていました。
 そんな息子が中学に進学すると同時に、私と妻に宣言したのです。「ぼくは小学校時代、先生やお父さん・お母さんが言うように生活してきた。中学校では自分が思うように生活する」と。
 6年生の皆さんはまねをしたらいけませんよ。息子は、勉強はほとんどしません。親の言うことは聞きません。制服など学校のきまりも違反していました。それも先生から注意されるかされないかのギリギリのところでです。とにかく強がっていました。
 どうにか高校には合格できました。しかし、高校入学後もほとんど勉強はしません。応援団に入って、背中には虎や龍の刺繍のある学ランを着て強がっていました。テニス部に入っていました。試合に勝つことはほとんどなかったのですが、ある試合で勝ったのです。それが嬉しくて近くの食堂で祝勝会をしたのです。そして、あろうことかビールまで飲んだのです。帰り際には、「○○高等学校万歳」と万歳三唱までしたのです。それを聞いたお客さんが学校にこのことを知らせました。翌日は親子そろっての呼び出しです。そのとき、校長先生は孟子の「天網恢々疎にして漏らさず」という言葉を引用して生活のあり方を訓示されました。「天網恢々疎にして漏らさず」という言葉は、「天に張りめぐらされた網の目は粗いが、悪さをした人は決して見逃さない」という意味です。息子はこの校長先生の言葉により目が覚めたようですが、これまでほとんど勉強らしい勉強はしていませんので大学受験では大変苦労しました。3年間浪人しました。大学卒業後も、今のような就職氷河期ではありませんでしたが、3年間浪人しました。途中で心が萎えはしないかと心配しましたが本人のがんばりによりどうにか就職できました。
 息子が結婚したとき、二人に話しました。
 「これまでいろいろあったがここまでこれたのはお前に自尊感情が身についていたから。自尊感情とは人にとって一番大事なもの。二人に子どもが生まれたなら自尊感情豊かな子どもに育てて欲しい」と。
 何度も言いますが、お子さんのこれからの中学生生活を左右するのは自尊感情の有無です。自尊感情豊かな子に育てて下さい。
 甲佐中学校では校長先生を中心に先生方が素晴らしい教育活動を展開しいらっしゃいます。甲佐中学校の教育活動を信頼し、あなたが育てたお子さんを信じ、学校と家庭がお子さんに関する情報を共有し合い、同じ方向で支援し、お子さんが中学校生活を満喫できるよう応援して欲しいと思います。
 プロ野球楽天イーグルスの元監督、野村さんは監督を辞めるとき「財を残すは下 仕事を残すは中 人を残すは上」と言いました。
 私はこの言葉に、「感動を残すは最上」を付け加えたいと思います。
 「財を残すは下 仕事を残すは中 人を残すは上 感動を残すは最上」。
 中学校生活が感動のある毎日になることを祈念して話を終わります。
 6年生のみなさん、素晴らしい中学校生活を送って下さい。


資料1

                      自尊感情について
                                                           福岡県立社会教育総合センター

 自尊感情というのは、自分に対する肯定的な感情のことを言います。自分はそれなりの能力と、良い面をもった大切な存在なのだという気持ちのことです。自尊感情の高い子は、精神的に安定し、何事にも積極的です。自分を律し、自分を大切にした生き方ができます。志をもって前向きに生きる子であるための最も重要な条件と言ってよいでしょう。
 ところが、最近の子ども達はこの感情がとても低い傾向にあります。福岡県(2001)の調査によると、「自分は何をやってもダメな人間だという感じが『よく』『時々』ある」という子が小学6年生で48.4%もいます。この数値は外国の子どもと比べて非常に高いものです。因みに私の教え子のグリシェンさんが同じ調査を中国・新疆ウイグル自治区の区都ウルムチの小学5・6年生に実施した結果では、半分以下の19.9%でした。日本の子ども達は 「あなたの良いところは?」と尋ねられてもあまり言えません。それが「良くないところは?」と聞くとたくさん出てきます。自分を肯定的に捉えることができないのです。最近の子ども達の様々な問題行動の背景にはこの自尊感情の低さが考えられます。
 なぜ自尊感情が低いのでしょうか。それは、体験すべきことを体験していないからです。例えば、遊びのなかには仲間をリードしたり、難しい課題にチャレンジし、それを克服して自信をつけたり、仲間から尊敬されたり、認められたり、様々な体験が含まれています。ところが、その遊びが今ほとんどありません。親の手伝いをしたり、幼い子の面倒をみる体験も欠けています。欠点を指摘されることはあっても、人の役に立って誉められる機会はめったにありません。これで自分が有能な、大切な存在だという感情が育つでしょうか。
 子どもの自尊感情を高めるのに特別の方法があるわけではありません。遊びや手伝いや何か良いことをして認められるといった、何気ない日々の生活体験の積み重ねが大切なのです。児童期は自尊感情が育つ大事な時期です。せめて休日は友達と十分遊ばせてください。自分のことはもちろん、家の手伝いもきちんとさせてください。そして、勉強のことだけでなく、子どものちょっとした良さや伸びに目を向け、心から誉めてやってください。


資料2

                    ローゼンバーク自尊感情点検項目
                                                                中川作一訳 (4段階)

1. だいたい私は自分に満足している
 (1大いに満足している 2満足している 3あまり満足していない 4少しも満足していない)

2.時々私は駄目な人間だと思う。
 (1少しも思わない 2あまり思わない 3そう思う 4大いにそう思う)

3.私には長所がたくさんあると思う。
 (1大いにそう思う 2 そう思う 3あまり思わない 4少しも思わない)

4.私はふつうの人と同じくらいの力量はもっていると思う。
 (1大いにそう思う 2そう思う 3あまり思わない 4少しも思わない)

5.私はじつは使いみちのない人間だと思うことがある。
 (1そうは思わない 2あまり思わない 3そう思うこともある 4よくそう思う)

6.私はこれだけは誇りにしていいと思うものをあまりもっていない。
 (1少しも思わない 2あまり思わない 3そう思う 4強くそう思う)

7.私は少なくとも他の人たちと同じように生きる価値はあると思う。
 (1大いにそう思う 2そう思う 3あまり思わない 4少しも思わない)

8.私はもっと自分自身を尊重する気持ちになれないものだろうかと思う。
 (1そうは思わない 2それほど思わない 3そう思うこともある 4そう思う)

9.結局のところ私は人生の落伍者だと思いたくなる。
 (1少しもそうは思わない 2そうは思わない 3そう思う 4強くそう思う)

10.私はいつも自分自身を積極的に生かしている。
 (1大いに生かしている 2生かしている 3あまり生かしていない 4少しも生かしていない)


資料3

                           「現代型栄養失調」


   「私は子どもにちゃんと食べさせている」と安心はできません。

 最近の果物や野菜に味がなくなっていることからもわかるように、昔と比べると食べ物自体の栄養価が少なくなっているからです。
 ほうれん草の栄養価は、祖母の時代と比べると、1/10とか。ですから、いくら気をつけても、心身が健全に機能するための栄養を十分とる事は難しく、体と脳が栄養不足を起こしているのです。
 また、食事を抜いたり、あるいは単純に食べればよいと、甘い飲み物や菓子、菓子パン、インスタントラーメンなどの麺類や白米のような穀物の炭水化物でおなかを膨らますと、栄養がとても偏ります。
 多くの人達は炭水化物と糖分へ偏りすぎています。体や脳を作り、健全に機能するために必要なカルシウムやビタミン、ミネラル、高たんぱく質などの栄養を、野菜、果物、魚、大豆などから十分とっていません。


    現代型栄養失調とは?

 ここ50年の間に私達の食生活は劇的に変化しました。急速な食の欧米化がすすみ、これだけ短期間に食文化が大幅に変化した国は他に類を見ないといわれています。
 動物性たんぱく質と動物性脂質が4倍~4、5倍にも増えて、逆に炭水化物は7割、食物繊維は6割程度にまで減少しています。
 その一方で、それを利用して代謝するための副栄養素:ビタミン、ミネラル、それに食物繊維が不足していて、折角のネルギー源を十分利用できていません。
 代謝不足でエネルギーとして利用されなかった栄養は、脂肪として体内に蓄積されてしまいます。
 現代食生活での大きな問題は、まさに「栄養バランス」です。
 とくに問題とされるのは、脂質の増加、カルシウムをはじめとするミネラルの不足、それに食物繊維の不足です。
 私達の食は、いま「飽食時代の栄養失調」にあるといわれます。
   精製・精白の“美食”が招いたミネラル不足。
 精製された小麦粉は小麦がもっていたミネラルの90%は失われ、構成も変わっています。
 精白米ではミネラル・食物繊維共に玄米の半分以下に減っていて、また、野菜の栄養価も、50年前のものと比べると20~50%も減少しているといわれています。
 他方、大豆や昆布、根菜や乾物など、食物繊維やミネラルが豊富な食品の利用の減少がアンバランスを助長しています。

   こころ・脳に大切なのは? ビタミンA、C、B群(B1 B2 B6 B12)等が重要

 ビタミンA、Cは身体とこころをストレスから守ります。
 そして特に B1は、身体の中でブドウ糖をエネルギーに変える酵素のサポートをする事で、脳内物質の代謝を良くし、こころを落ち着かせます。不足すると神経伝達物質セロトニンが少なくなり、脳の働きが鈍くなったり、集中力に欠ける、すぐカッとなる、身体がだるくなりイライラする、気分がふさぐ、不安になるなどが起こりやすくなります。

 カルシウム・マグネシウム・鉄分が精神に関わる

 カルシウムは神経の鎮静作用をもたらします。ところが、カルシウムは加工食品に多く含まれるリンと結び付きやすく、リンが過剰になるとリン酸カルシウムとして体外に排泄されてしまいます。加工食品がよくないという原因でもあります。
 マグネシウムは、不足すると無気力や集中力の低下につながります。
 鉄分は不足すると、貧血による疲れ、ボーっとする、気力が失せるなどが起こりやすくなります。
 繊維は、それ自体に栄養はありませんが、脳やこころにとって有害な物質を腸から吸収される前に排出してしまう繊維の任務はとても重要です。それでなくとも、便秘になれば誰だってイライラしたり、ボーっとするなど集中力が低下します。
 繊維を含んだ食品は、摂取しにくいビタミンやミネラルを含んでいます。

  こころ・脳に大切な栄養素が含まれる食品
ビタミンB1 玄米、豚肉、小豆などの豆類、しいたけ、にんにく、緑黄色野菜、牛乳
ビタミンB2 レバー、肉、卵黄、緑黄色野菜
ビタミンB6 レバー、肉、魚、牛乳、卵、豆類
ビタミンB12 レバー、肉、魚、緑黄色野菜
ビタミンA  緑黄色野菜、うなぎ
ビタミンC  野菜類、柑橘類などの果物
カルシウム  牛乳、チーズ、小魚、小松菜、大根葉、ひじき、干しえび
マグネシウム 玄米、ワカメ、昆布、大豆製品、ほうれん草、イワシ
鉄分     レバー、小松菜、ほうれん草、ひじき、海苔、大豆製品、卵
繊維     根菜類、いも類、海藻類、こんにゃく、たけのこなど